おじいちゃんの神父様が、
難しいお話をどうやって子どもたちに伝えるか、
さんざん苦心した跡がよく見えます。
それも、原稿用紙の400字という制限の範囲で…
「子どもの祈り」のように、とても子どもっぽい文章になっていたり
かと思うと、ギリシア語・ラテン語、英語やフランス語が出てきたり…
不統一な部分も多いですが、
ていねいな手書きの味わいと、そこに込められた情熱とで
神父様の子どもたちに対する愛情が伝わってくるようです。
制作年代は、1980年〜84年と思われます。
教皇ヨハネ・パウロ2世の訪日(1981年2月23〜26日)をはじめ、
ワレサ議長(ポーランド)のエピソードなど、
当時の世界情勢を少し反映したものとなっています。
1980年代に、武庫之荘教会の土曜学校で、
テキストとして、神父様の手書きの原稿が配られ、
神父様がやさしいことばで解説してくださいました。
でも……
むずかしかった!
土曜の夕方、仲良しの友だちと一緒に、
西日の差す聖堂で、
神さまの教えを一生懸命聴いたのは、
よい思い出です。
この「私家版・公教要理」において見られる「イエスス」とは、
現在の教会では「イエス」と表記されているものです。
御子キリストにつけられた名を日本語で表記・発音するにあたって、
従来、カトリック教会は伝統的に「イエズス」、
プロテスタント諸教会は「イエス」という表記・発音を採用してきました。
日本のカトリックおよびプロテスタントの聖書学者が協力し合って、
共通の、より良い日本語聖書「共同訳」をつくる事業が展開されたとき、
両者は妥協しあって「イエスス」という表記を採用しました。
「私家版・公教要理」は、それを反映したものです。
なお、「共同訳」は新約聖書が一巻本で刊行されましたが、
のちに大幅に編集方針に変更が加えられ、
さらなる翻訳作業の結実として、
旧約聖書やいわゆる旧約聖書続編とともに、
現在の「新共同訳」として、旧約・新約がそろって刊行されるようになりました。
これに合わせて、
日本のカトリック教会は、日本人のあいだで広く浸透している「イエス」という表記を
公式に採用することとなりました。
(発音については従来どおりの「イエズス」の発音でもよい、ということになっています)