この写本は1481年来、ローマのヴァチカン図書館に確認され、今日もなおそこに保管されているので、その名がある。これは759葉の羊皮紙を含み、うち617葉は旧約本文、142葉は新約本文である。形状は正方形(一辺27.5cm)。各ページは三欄、各欄は42行である。旧約はギリシヤ語訳で筆写されているが、多くの部分に欠文がある。新約はヘブル人への手紙14で終っている。今日の研究で、この写本はギリシヤ語新約聖書本文の貴重な証拠および旧約の最良のギリシヤ語訳の一つと見られる。作成は4世紀中葉、場所はアレクサンドリアである。上の写真=略=はマタイ福音書の冒頭の部分。
1844年と59年に発見されたこの写本は4世紀後半にできた。形状は縦43・横37.8cmで各ページは4欄、各欄は48行、旧約の大部分を含む。ヴァチカン写本としばしば符号=原文ママ=し新約はほぼ脱落なく収められている。末尾に聖書以外のニ文書すなわち「バルナバ書簡」と「ヘルマスの牧羊者」がある。写本が保存されていたのはアレクサンドリアの聖カタリナを記念してユスティニアヌス帝が530年にシナイ山麓に建立し、常に掠奪をまぬかれたギリシヤ正教の修道院であった。発見者はコンスタンティン・v・ティッシェンドルフ(プロテスタント神学者)で、かれは時代のあらゆる反論に抗して熱烈に聖書の信憑性を主張した。